ふうせんじいさんの秘密
今日もちょこっと描いてみました。

僕の絵の中に時々登場する、このじいさんの話をしましょう。
このじいさんは、ふうせんじいさんと言います。
ふうせんじいさんという名前は、僕が勝手に付けたのですが、一応、実在する人物です。
むか〜し、僕はチャリンコで四国を一周したことがあるんですけど、何日目かの朝、コンビニっぽい
店で朝食のパンだったかな?を買って、外に出てきたら、ベンチにこのじいさんが腰掛けてて、食パン
をむしゃむしゃ食べてたんですね。
で、じいさんの方から僕にしゃべりかけてきたんです。
僕も隣りに腰掛けたわけですが、ちょっと、いや、かなり汗くさかったのを覚えています。
でも、ヒゲが、この絵のまんまの真っ白で、まるで仙人ような風貌だったんです。
当時、たぶん80歳を越えてたと思うんだけど、しゃべり方はとてもはきはきしていて、
ぼけてるところはまったくない感じでした。
このじいさん、若い頃に、仕事で大けがをしたらしく、医者にも見放されて、寝たきり
状態だったとのことです。
でも、自分で少しずつリハビリをしているうちに、なんと、日本中を歩いて回れる程、
回復したそうです。
僕が会った日も、歩いての旅の途中だったわけです。
「人間ってすごいですねぇ。」と、何十歳も年下の僕に敬語をつかいながら、
そんなことを言ってたのを、今でもはっきり覚えています。
そのじいさんは、黒い長靴をはいて歩いていたのですが、かかとがすっかりすり減って
いました。
長い時間、話したわけではないのですが、その時、じいさんの姿の写真を一枚だけ
撮らせてもらいました。
その後、何年も経って、僕が絵を描き始めた時、あっ、あのじいさんを絵の中に登場
させたらおもしろいかな・・。あのじいさんが、ふうせんを飛ばしてたら、もっとおもしろい
絵になるかな・・。
と、こんな具合で、僕の絵の中にふうせんじいさんが登場したわけです。
で、「ふうせんじいさんの旅」というシリーズで、僕の絵がはじまったのです。
そして何作目かで、ふうせんじいさんと縄文じいさんが出会って、その後は
縄文じいさんが主人公になったわけです。
それにしても、じいさんと四国で出会って、10年くらいは経ったのかな。
住所も名前も聞かなかったから、今、どこで何をしているのか、全くわかりませんし、
生きてるのかもわかりません。
でも、僕の記憶の中では、ずっと生き続けることでしょう。
で、あのじいさんは、本当に仙人だったんだと、僕は今でも信じてるわけです。